1. 中国成長市場へ向けた塾事業の展開。 教室およびオンライン教育サービス「自習室」

中国成長市場へ向けた塾事業の展開。 教室およびオンライン教育サービス「自習室」

2018年12月28日 事業紹介

中国成長市場へ向けた塾事業の展開。 教室およびオンライン教育サービス「自習室」

日本の教育市場が全体として少子化の影響を受ける中、新たな成長分野として中国に注目が集まっています。EduLabグループでは、2014年より中国で「アダプティブ・ラーニング」を用いた塾事業に着手。オンラインとオフラインを融合させた一体型の教育モデルを展開し、拡大する需要を確実に取り込んでいます。

 

 

中国事業開発担当執行役員

首藤 大介

慶應義塾大学経済学部卒業後、新日本製鐵株式会社に入社。1999年、慶應義塾大学大学院経営管理研究科経営学修士(MBA)課程修了。KOA T&T株式会社にて経営企画を担当しLogitech Inc.からノートPC用タッチパッド事業の買収を手掛ける。その後、K-TECH DEVICES INC.に社長として赴任し、台湾の店頭市場に株式公開を果たす。2008年株式会社教育測定研究所に参画し、海外展開の足がかりとしてシンガポール法人立ち上げを担当。現在は株式会社EduLabの執行役員として中国事業を統括。

 

集団指導塾から児童が自主的に学び、先生がサポートする「反転授業」

「自習室」は、中国で展開するオンラインとオフラインを融合した、個別学習塾の運営事業です。

2014年に中国のパートナー企業とともにプロジェクトを開始し、2017年にサービスをスタートしました。約1年半が経過した2018年12月時点で、15省47都市に117校が開校しており、6,000人以上の生徒が利用しています。

 

 

自習室事業は最近注目を集めているキーワード、「反転教室(Flipped Classroom)」と「アダプティブ・ラーニング」、「オンライン・パフォーマンス測定(Online Performance Measurement)」を特徴としています。

これまでの授業では、生徒たちは教室で一斉に講義を受け、家に帰ってから宿題に取り組む形態が一般的ですが、反転教室では、生徒たちはまず自宅でそれぞれの課題に取り組みます。教室では講義を聞くのではなく、10分以下のショートアニメで理解を深めてから、事前に学習してきたことを元にドリルを解いたり、テストを受けるなど、個々の生徒に合わせた指導を受けます。つまり、インプットとアウトプットの場が逆転した学習形態です。

 

既に世界中で展開されている『KUMON』と同様、自分の力で学習し、わからないところは教室で補完するというスタイルと似ていますが、自習室ではより効果を上げるために、生徒個人に最適化した学習を支援する「アダプディブラーニング」を導入している点がポイントとなります。

 

アダプディブラーニングでは、オンラインテストを用いることで、各生徒が学習内容のどこにつまずき、どこに理解不足があるのかを正確に特定することが可能となります。学習進行度や理解度を確認しながら次のステップに進むことができ、生徒一人ひとりのデータも蓄積できるため、個別にサービスの品質を向上させることができます。

 

オンラインとオフラインを融合させるメリットとして、オフラインでは教室で先生が生徒の反応を観察しながら細やかな指導ができることや、子どもたちの親とコミュニケーションを取りながら関係が築けること。

そして、オンラインで教育資源の利便性を高められ、生徒一人ひとりに「最適化」されたコンテンツを提供できる、まさに次世代の学びのスタイルと言っていいでしょう。

 

 

 

 

2014年に事業を立ち上げた当初、教育業界においてアダプティブラーニングの概念はまだコンセプトレベルのものでしたが、2018年には中国でもバズワードになるほど実現可能性が見えてきており、猛烈な勢いで様々な企業の参入が始まっています。

中国では、今や都市部におけるインターネットの普及率は7割を超えるとされ、また子どもたちの親たちがインターネットを使いこなし、オンラインでの教育を抵抗なく受け入れられる世代であることも、勢いを下支えしていると考えられます。

 

 

教師側の負荷を抑えつつ、生徒の学習効果を最大化

自習室が中国市場に受け入れられ始めている理由としては、中国向けの教材を一からオリジナルで開発していること。各都市の生活に密着した場所に立地し、送り迎えをする父兄と教師が密にコミュニケーションを取りながら進めていること。そして何といっても、生徒一人ひとりの実力を把握しながら学習できるシステムにより、学校での成績に自習室の成果が目に見えて反映されていることが挙げられます。

 

一方、事業としての側面では、先生(経営者)の負担が軽いことが特徴です。

従来の塾は、一人の先生が数十人の生徒を教える集団塾が主流でした。そのため、教師のレベルや人気が塾の経営を左右し、カリスマ教師の確保や維持が塾の経営を圧迫する面が大きかったと言えます。

自習室は、教材・システムそのものの設計に比重を置いているため、教師の役割は集団に「教えること」から生徒個々人にあった「コーチングをすること」が主体。教師は生徒の学習進捗管理、モチベーション維持などが主な役割となるため、生徒に質の高い指導を提供しながら、業務を軽減することが可能となりました。

指導者としての経験が少なくても、生徒や親とのコミュニケーションに注力することで十分に教室を運営でき、利益も上がりやすい仕組みとなっています。

 

子どもたちの教育をテクノロジーで変えていく

現在、自習室は小学校・幼稚園を対象に展開。小学生は算数、幼稚園児は漢字を学んでいます。

中国では2016年に一人っ子政策が撤廃されましたが、とはいえ現代社会では一人っ子の家庭が主流。厳しい競争社会に勝ち抜くために子供により良い教育を受けさせたいと願う家庭は多い反面、ゆとり教育が推進され、宿題などにも制限がかかっています。その部分を塾で補いたいという家庭が増えているため、小学生の塾は特に業界全体が注目しているところでもあります。

 

今後ますます高まると言われる教育熱で、中国の教育市場は今後も拡大していくことが予想されます。

自習室は、他社と明確に差別化できるコンテンツと、これまで当社が日本の教育市場で培った独自の教育ノウハウなどの強みで市場に着実に根付いていくことを狙いとしています。今後も、自習室の認知度向上と教室数拡大を加速していき、まずは生徒数10万人の達成を目指します。


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